春の風

確定申告もひと段落。

気がつけば春の風。

 

私にとって最初で最後のサラリーマン時代の話をひとつ。
テレビCMの美術アシスタントをしていたときのこと。

 

ある日、ひとつの現場が終わり、次のスタジオに向かう時に
ほんとうだったらアシスタントごときは電車移動と決まっているのだけど、
次も同じ現場だからと、監督が何千万もするベンツで、
次のスタジオまで乗っけて行ってくれた。

 

そのときは秋で、日が少し傾いた時間。
街路樹のイチョウの落ち葉がひらひらと舞い、
歩道が落ち葉に染まり、
灰色と黄色のコントラストが、
それはそれは美しかった。
そして、ひとりのおばちゃんがその落ち葉を掃いている。

 

それまでは車中、くらだない会話を楽しんでいたけど、
信号待ちで私と監督はその光景に見入って、会話が止まった。

 

そのときの景色と感情または感覚をいまだに鮮明に覚えいる。
夢の中でよく行く場所のように、今でもたまに思い出す。
そして、久々にそのことを思い出した。

 

私の生きる世界ではそういうことがたくさんある。
そういうことこそが重要で、むしろそれしか重要ではない。
とても大切なことなのでその概要を記しました。